maho nazo
梢ちゃんの家族構成を考える
 蒼葉梢──彼女は鳴滝荘管理人、そして解離性同一性障害のキャリア。

 彼女は16という若さで鳴滝荘の管理人という仕事をしています。しかし、そんな状況になるためにはどのような背景が存在すればよいのでしょうか。疑問なのは、どうして16歳の少女が大家をやっているのかということです。両親が経営すればいいものではないでしょうか?


 まず、そのために梢ちゃんの家族構成を整理してみたいと思います。
 第1話にてだいたいの構成は紹介されています。
 まず、主人公の白鳥隆士と蒼葉梢は「はとこ」であるということが分かっています。要するに、両親がいとこ同士ということです。そしてこの二人は10年以上前に会っている(隆士くんは覚えてないが)ということも分かっています。恐らく会ったのは梢ちゃんの曾祖父が亡くなったときのお葬式でのことだったと思われますが、これは第1話で梢ちゃんが「曾祖父が亡くなって以来ずっと白鳥さんのご家族とは疎遠になっていた」というセリフと、第1話の冒頭のモノローグ的な場面からの推測です。
 また、第3話にて梢ちゃんの自己紹介がありますが、そこで「私がここ(鳴滝荘)に長く住んでいる」ということと、「私をかわいがってくれた亡祖父(おじいさん)から譲り受けた場所だから」ということを話しています。
 また、第4話の冒頭では梢ちゃんが亡祖父(おじいさん)に向かって「白鳥さんが鳴滝荘に住むことになりました」と言っています。

 以上のことから疑問点を挙げるとするならば、まず梢ちゃんにとって両親がどのような存在であるかということです。
 梢ちゃんの口から両親を語るような言葉が出たのは、第1話で隆士くんに「白鳥さんのお母様と従姉妹(いとこ)の関係にあるのは私の母ですよ」と言ったときだけです。それ以降は、おじいさんとかの話しか出てきません。
 そもそも、解離性同一性障害というのは、幼少期のトラウマのようなものから逃れるための自己防衛策のような感じらしいです。まだ詳しく調べていないので正確なことは言えませんが、虐待とかあまりに衝撃的な出来事が起こったときなどに、主人格を守ろうとして別の人格が発生するというケースもあるようです。この辺のことは調べがつき次第、『「解離性同一性障害」とはどんな症状なのか?』の項目で取り上げたいと思います。
 話を戻しまして、梢ちゃんがほとんど両親のことを話してないのは、多重人格の原因が両親にあったからなのかもしれません。しかし、隆士くんにきちんと家族関係の説明ができているところを見ると、虐待とか酷い目にあわされたといった感じはしません。むしろ、目の前で亡くなってしまったといったようなショッキング的な要素が強いかもしれません。
 いまやすっかり忘れ去られている感じではありますが、第1話にて酒を飲んでいた桃さんに梢ちゃんは怒りのような感情を見せていました。
「お酒を飲んで他人に迷惑をかけたりしたら……」
 その迫力たるや桃さんをもたじろかせるほどです。また、そのあと梢ちゃんはこのように呟いています。
「……け……で…… …た………いで………」
 仮にこのセリフが『お酒を飲んで、酔っていたせいで』といったニュアンスだとしたら、両親、あるいはおじいさんかひいおじいさんの死因なり何なりがお酒であったのだろうと推測できます。また、その後のページで桃さんが「梢ちゃんにお酒はタブーだってのに」と反省しています。ということはやはり、お酒が何らかの引き金になっていたことは間違いないのでしょう。しかし、その原因が両親なのかそうでないかわからないため、これ以上のアプローチは無理でしょう。

 別の面から考えてみます。どうしておじいさんから梢ちゃんに鳴滝荘が受け継がれたのかということです。順当に考えるなら、おじいさんがなくなったのなら相続権は両親にあるはずです。遺言でそうしたんじゃないかというのがいちばん簡単ですが、そうも簡単にはいかないのです。
 それは一体いつおじいさんが亡くなったかということにもよります。仮に梢ちゃんが小学生の時点で鳴滝荘を受けついたとします。そんな小学生の時点で管理人の仕事などできるでしょうか。できるとしたら、おじいさんから仕事の内容を教わっていたと考えるのが妥当です。そうなると、おじいさんから両親に引き継げなかった理由があったはずなのです。
 仮定の部分、梢ちゃんが管理人になったのはいつなのかという部分があいまいなため、どうしてもあいまいな推測しか立てることが出来ませんが、しかし、両親へ引き継げなかった理由があったのは確かなはずなのです。それは、おじいさんより先に亡くなっていたか、それとも梢ちゃんびいきなおじいさんで両親とは不仲だったのか……そんな理由が考えられます。

 視点を変え、白鳥家サイドから見てみます。
 隆士くんはかつて鳴滝荘を訪れたことがあるようですが、本人は覚えていません。そもそも、隆士くんが鳴滝荘にやってくるきっかけになったのは両親の口利きです。そこで、母親はこのように発言しています。
「お母さんの従姉妹が東京でアパートをやっているのよ」
 従姉妹といっています。梢ちゃんと隆士くんのお母さんは従姉妹の関係にはありません、つまり梢ちゃんの母親がアパートを経営していると言っているのです。
 この情報がどれほど新しいのか、それによって解釈が変わってくる言葉です。
 まず、今現在その情報の通りであるとした場合、管理をしているのは梢ちゃんだが、権利者は梢ちゃんの両親にあるという風にも取れますし、昔のものだったとすればかつては梢ちゃんの両親が管理していたと思われます。疎遠であった状況からすると古い情報である可能性の方が高いです。
 もっとも、「僕の友達は八百屋さんだ」といったところで、経営者はその友達の両親だったりすることもあるので言葉の通りに受け取るわけにもいきませんが。
 しかし、従姉妹がアパートをやっているというセリフ回しから、梢ちゃんの両親は健在である可能性の方が高いような気もしてきます。いくら疎遠になっているとはいえ、仮に梢ちゃんの両親が亡くなってしまった場合は連絡が来るのではないでしょうか。従姉妹くらいまでの血縁関係ならだいたい交流はあると思われますし、少なくともお互い連絡先くらいは把握しているはずです。そう考えると、梢ちゃんの両親が亡くなっていたなら、「従姉妹がやっていたアパート」とか、「従姉妹の娘がやっているアパート」というセリフになるのではないでしょうか。


 いずれにせよ現段階の情報では推測の材料が少なすぎてこれ以上推測をすることができません。
 しかし、梢ちゃんの両親が「まほらば」の鍵を握っているように思えてなりません。
2002.09.24

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